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| 2009.09.22 - Tue  |  ろ・りぃい・た |

キューブリック版の映画は大分前に一度だけ観たけれど、原作は初。



ロリータ (新潮文庫)ロリータ (新潮文庫)
(2006/10)
ウラジーミル ナボコフ

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キューブリック版の印象は実はそんなに残ってなくて、私にとっての『ロリータ』イメージはゲンスブールとその周辺の女の子達で成り立っていたりする。
特に遺作でもある『スタン・ザ・フラッシャー~露出狂とロリータ~』を古いVHSで観たのは、精神的にどん底水底だった数年前の今頃の季節だったこともあり、それ~はそれは痛く心に残っているのだ…(T-T)

が、しかし。

本家本元、ナボコフの小説を読んだことはなかった。
少し前から気になってて古本屋で探しているのだが、(関係ないけど)デュラスの『愛人』はよ~く見かけるのに、かつての大ベストセラーであるはずのこの『ロリータ』はちっとも見当たらない。
諦めてたら、たまたま新刊、それも新訳版を近くの本屋で発見。
最初の数ページを立ち読みしてみたら、おお、私好みの文体ではないか。
一発で気に入って即購入、先日一日かけてようやく読み終えました――何故か汗びっしょりで。

「ロリコン」の語源とも称されるロリータですが、『エマニュエル夫人』や『チャタレイ夫人』のようなド直球官能小説なのかな~っと思いきや、さに非ず。
冒頭数ページを読む限りはそうなんですが、ソレだけを期待して読み続けると肩透かしをくらいます(私がそう^^;)。

少女愛に取り付かれた中年オヤジのめくるめく倒錯愛の告白劇場かと思いきや、そう簡単に「事」が進むわけじゃないのは、やっぱり作者はロシア人ってところなんだろうか。
念願かなってロリータとベッドインするシーンがコレ↓

《我が命は幼いローによって元気よく実務的に扱われ、まるで私とは接続されていない無感覚な装置みたいだった。大胆な子供の世界を私にぜひ印象づけようとするかたわらで、彼女は子供の命と私とでは多少の食い違いがあることをまったく予期していなかった》

このドライな感覚…その後も、直接的に描写されるセックスシーンはどれもこれも殺伐とした痛みの断片に満ちており、いやあ、あんた本当に楽しんでるのかハンバート?っと不安になってくる。
ロリータに触れたいのに触れられない、触れようとすると拒絶される、その隙間の苦悩の中に於いてのみ、ロリータの魅力と官能は最大限に開花しているようだ。うーん、報われない男。

モーテルからモーテルへ移動を続ける退屈な旅。
ロリータの為だけに立てられた仮初の目的、それを繋いでゆくだけの蛇行の日々。
読めば読むほど、可哀想だがハンバートにはちっっとも感情移入できず、ロリータにも別に同調できない(筆者後書きによれば、出版を拒否した編集者の中には「登場人物の誰にも善人がいない」と言ってきた人もいたらしい)。

結局のところ、ハンバートの頭の中でしか完成された真のロリータは存在し得ない。
それなのに、何とかそれを目の前のロリータに結実させようとするハンバート。
空しい努力を延々と重ねているだけだと知りながら、ローを捕らえ続けることしかできない。

勿論、一瞬くらいは何かを捕まえそうになる機会はあったのかもしれないけれど…
それも発作的な嗚咽の後に跡形もなく消えてしまう。

――逃避行の間にもどんどん成長するロリータは、あくまで「元気よく」「実務的」で、精神的に成長するわけでもない。
でも、そんなロリータだからこそ、きっと21世紀までそれなりに幸せに生き延びたんだろうな~とも思うのだ。
ラスト間際、ハンバートの元から逃げ出し、どうってことない男と共にアラスカに向かおうとするロリータ。
かつてのニンフェット性を失い、痩せて、背が伸びて、青白くて、腕には血管の浮いた、腋毛も伸び放題の、お腹の大きなMs.ドロレス。
ハンバートにとっては長年の美しい夢をぶっこわされてフラフラなんだろうけど、私にはこのロリータもとても美しいと感じられる。
ハンバートがどれだけ絶望してどれだけ泣こうとも、実務的に、その提示する小切手にのみ喜びの笑みを隠さないロリータ。
嗚呼、したたか過ぎるその姿、なんて素晴らしい。
そうそう、こうでなくちゃね、女の子は!って思わずガッツポーズしそうになるんだ。

作中を貫くイメージである、エドガー・アラン・ポーの『アナベル・リー』。
モデルは実在したポーの幼な妻・ヴァージニアだけれども、彼女はロリータとは全然違う。
ヴァージニアはポーにインスピレーションを与え続け、死後も影響を与え続けた。
影響を与える、という点に於いては同じかもしれないけれど、ロリータはハンバートに何ももたらさないし、彼女に何かをもたらした男も、ハンバートではない。
アラスカに行った(かもしれない)ロリータの判断はとても賢明だし、双方にとって最良の選択だろう。
そのお陰で、ハンバートは記憶の断片の中で死ぬまでロリータを愛し続けることができるのだから。

読了後はどっと汗までかきました…要は疲れた、とっても^^;
たぶん、今後通して読み返すことはない物語だと思う(作者自身もそうだったようだし)。
それでも、ふと思い起こされる一節、一瞬に触れたくて思わず開いてしまう、そんな本になりそうです。

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