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| 2005.09.17 - Sat  |  誰もいない夜 |

冷たい老人の肌は滑らかに



爪の先は硬く、静脈はその流れを感じさせない



完璧なその形が闇の中で浮かび上がる



人差し指と中指の間が細かく震えている







その隙間に



私は私の指を滑り込ませて見たいのだ



熱く、柔らかな、骨太の、不恰好な、傷だらけのこの指を







冷たい指が私の指を握り締めると



それはとてもかたく強く、



思わず滑り込ませたことを後悔するようなきつさで



私の現実を締め上げる



後に残った薄い表皮の周りの痣に溜息をついて



消えてしまった残酷な冷たさをうらやんで恋しがる



掴まれた瞬間はその痛みだけで



私はどこかに消えてしまうので



(そう感じられるのはこの一瞬でもあるのだけれど)









若い時の彼の指は



鋭く引き裂かれるような痛みを伴った音を奏で



軟弱なこの耳の中に飛び込んできた









年をとってからの彼の指は



完璧に織り上げられた曼荼羅の中心、



クリスタルの果て無き乱反射、



どこまでも高く伸びる摩天楼の霞、



見つめすぎて眩暈をおこす寸前の電灯の紐、





そういった具合に私を引き寄せ吸い寄せたぶらかせる音を奏でる



それでいて彼の存在など微塵も感じさせないのだから







彼は何処にいったのだろう



何故だろう、これほどまでに引き上げられながら



情動を感じることができない



その吐息を聞くことはできるのに



彼はどこか遠くにいってしまった



その指が奏でる天上の彼方へ



引き寄せられながらこの目ではみることのかなわぬ世界



透明な膜が重なっておおぼろげな、それでいてクリアで静謐な世界に







老人の冷たい指は



そんな具合に私を引き上げる





私はその見えない冷たさに



暗く底に沈む冷たさに





浮遊する







夜、



誰もいない夜に。



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