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| 2008.02.20 - Wed  |  赤い絵と夢 |

こんな夢をみた。







「赤い絵の世界」に私はいて、私の手足も何もかも全部「赤い線」でできている。 



横に今にも死にそうなおばあさんがいて、死ぬ前に私は絵の世界を説明している。



「ここに雲があって、ここに公園があって、ここに子供が3人いるよ」



みたいに、左手に持った一枚の赤い絵を指差しながら。



おばあさんは言葉ひとつひとつに頷きながら、じっくりとその絵を見ている。



おばあさんは画面右側、私は左側、私の左手にその絵はあるんだけど、つまり「絵の中で絵を見ている」様子をさらに絵で見ている、という夢らしい。





説明しながら、何だか息苦しくなってきた。



それでいて涙があふれてあったかくなってくる。







そして目が覚めた。









「何処」の世界なのかはすぐわかった。

引越しして1週間、家具のない部屋の床にはいろんなものがとりあえず積み重ねられているんだけど、その片隅にこの写真の絵がある。

ほんとは壁に貼りたいとこだけど、コンクリなので画鋲が使えず、とりあえず床の上に置いてある。





200802202315000.jpg





5年前、新宿南口で買った絵だ。たぶん300円くらい。はがきサイズのがもう2枚。



東京に通い始めた頃だった。



黒い雑踏の中で、その絵描きのにーちゃんの足元だけが赤かった。







その頃私は赤い色に没頭してて、赤いボールペンだけ何種類も集めては暇さえあれば曲がりくねった感情と思考をそこらの紙片に乱雑に描き(書き)殴っていた。

赤、という色のことを考えると何か胸の動悸が止まらなかった。

赤い色の中に埋没したくて、赤い色でぐるぐる自分を緊縛していた。



写メ画像(おまけに間接照明下のセピア機能)でわかりにくいんだけど、多分どっかの廃材置き場かなんかに建つオンボロ建物の手前から向こうに道が走っている、という構図。

空に星はあるけれど、夜なのか夕方なのか明け方なのかはわからない。



赤い絵は他にも何枚かあって、どれもこれもがいつまでもじっと見つめていたい不思議な絵だった。「ノスタルジア」を感じる、といえばそれまでだけど、自分とは距離のある世界観のようだったし、哀しくも苦しくもなる絵だった。



だけど全部ほしくなった。



そうもいかないので、悩んだ末にこの絵と、もう2枚ハガキ大のを買ってみた。



あれからもう五年たつんだなあ。。







実はこの絵を買った数日後、京都国立近代美術館で横尾忠則展に行ったのだが、そのすさまじいイメージの嵐(作品数も規模もものすごかった)にもまれもまれて、初めて展覧会全体を3周くらいして堪能したその最後の最後。



「暗夜光路」というシリーズで、私は生まれて初めて絵を見て涙がでた。



構図はこの写真の絵と似ていて、路地の交差に立つ建物の角ばかりを描いたもの。



その前には「家族狂」とか「私への回帰」とか「血と記憶と繋がり」に関わるやはり「赤い」イメージがどっぷりと広がっていたのだが、最後のこのシリーズはほとんど雨の日の夜とか、冷たい静寂の中に佇む建物ばかり。



先日に買った絵といい、横尾忠則といい、どうして自分がこんなに赤に惹かれるのか、そして「血と記憶」にこだわるのか改めて不思議に思った。



そこにはどうしても、関係が複雑になってきたK氏という男が絡んでいて、私は自分と奴が出会った意味とかいまどうであるかとかそれが今後の私にどう影響するんだろうだとかをただただ考えていた。「希望」や「恋心」はあんまりなくて、肉が触れる度に「赤い何か」はどんどん重みを増していくようだった。それは初めての体験だったし、哀しくも苦しくもあったけれど、ドキドキと動悸が止まらないものでもあった。





絵はその後3年間、寮の箪笥の扉にセロテープで貼り付けられていた。

服を着るたび、絵の中の家族はどこにいくんだろうとか、この階段はどこに続くんだろうとか、この道の向こうは森だろうかとかふっと考えた。



そして卒業した。



私はいろんな女の子やなんやかやを押しのけ、奴のいる東京へ行った。



じいちゃんが死んだことでふんぎりがつき、全く不安定な世界を選択するのにも躊躇はなかった。



相も変わらずの傲慢な自信と好奇心だけを持って。





K氏と住む部屋は私が探した。



プライベートは別けようとかで、真ん中にキッチンのある2LDK。

見晴らしも日当たりも大家さんの人柄も防音もばっちり。

その部屋で2年間、本当にほんとーーーーにいろいろあった。



いろんなおいしいモノを食べたのはあの部屋だし、大音量で飲んだくれたのもあの部屋、初めて奴を殴ったのもあの部屋だし、顔で笑って心で号泣したのもあの部屋だし、ほかの女とらぶらぶ電話してるのをじっと聞いてたのもあの部屋だし、その女が完璧な声と笑顔で私を殺しかけたのもあの部屋、青空がとても綺麗だったのもあの部屋。



そして奴がいまも住むあの部屋。







プライベートは結局別けられず、この赤い絵がスーツケースの中から取り出されることはなかった。というか、私の荷物とか私の空間だとはみんなK氏と融合していた。

それがよかったとか悪かったとかはわからない。



いろんな女からの電話と手紙と気持ちが部屋の片隅に徐々に増えていった。



何かを死ぬほど考えたり形にすることは減り、でも触れることは心地よかった。







そしてK氏は私と同じ空間にいることを拒んだ。



翌日から唐突に奴は「別け」始めた。



昨日までの当たり前はあっという間になかったことになった。





その夜、「私のもの」がほとんどない物置と化した部屋で、私は引っ越して初めてスーツケースをあけた。

中には、卒業前にコーヒーをぶっかけて真っ黒になった(でもハードは生きてる「可能性」のある)ノートパソコンと、赤い絵が入っている。



絵を、奴と別けられた扉に3枚、セロテープで貼った。



奴は目もくれなかったけど、この寂しい世界は私を慰めてくれた。

「そこに行きたい」「帰りたい」とは思わない。

5年前、今と違う種類の暗闇の中で、赤い世界はすぐ隣に寄り添ってくれていた。

これからまた新しい苦しみが始まる。それでも生きていかないと。





それから1ヶ月後、私は部屋を出た。

日常は非日常になり、仕事をしていても上の空。帰る目的もないから帰りは遅い。

住む目的もないから、部屋を転々として、落ち着くことはなかった。

京都に戻ろうと決め、京都で「生活」することだけを目標に数ヶ月耐えた。



そして仕事を辞め、ようやく引っ越した。



今日はネットに接続。これまた2年ぶりにパソコン(生きてるやつ)を開けた。



昨日は赤い夢をみた。



久しぶりに、早くこの絵を壁に貼らなきゃ、と思った。床の上じゃなくてね。



…ふと思い立って絵をひっくり返してみた。







そうでした。



絵描きのにーちゃんはあの時サインしてくれたんでした。



駄目もとで名前を検索してみると一発でビンゴ。



そんなわけで、今も昔も側にいてくれる絵の世界をご紹介です☆↓







『オカダシゲヒロのホームページ』





楽しみが増えました…vvv







3月12日追記>>

何ということでしょう…最後の最後にご紹介させていただいたお名前を…私ときたら間違えて表記していた!!!!!!何たる無礼千万!!オカダ様、本当に申し訳ございません。

改めて訂正させていただきます。正しくは『オカダシゲヒロ』様です。

恥ずかしさのあまり穴があったらもぐりこんで暫く出てきたくない気分…(;;)

さあ皆様、こんな間違いだらけのブログから脱出し、是非ステキHPにとんでいってくださいませーー!!!!

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